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アスリートたちも苦しめられている花粉症の対策とは?
2020年に控えている東京五輪。
期間は夏のオリンピックとはいえ、アスリートたちは356日練習に励んでいます。
卓球やバドミントンといった室内競技はもちろん、一番大変なのは陸上などの屋外での競技。
- 「アスリートは運動もしているし、自律神経もしっかりしていそうだから花粉症にはならないのでは?」
- 「アスリートは体が丈夫だから多少の花粉では問題ないのでは?」
いえいえ、そんなこともありません。
オリンピックに出場するようなアスリートでも花粉症にはなりますし、アスリートだからこそ「飲める薬が制限」されてしまうのです。
数多くの名選手を出している日本で、アスリートたちはどのような花粉症対策を行っているのでしょうか。
1964年の東京オリンピックでの花粉症状
2020年に予定されているオリンピックですが、1964年に行われた東京オリンピックでは花粉症というものはどのような状況になっていたのでしょうか?
実は、スギ花粉が「花粉症」として初めて認識(取り上げられた)のが1964年の東京オリンピックの時でした。
日光市内の診療所でくしゃみ、鼻水鼻づまり、といった症状を訴える患者が春先になる度に増える事から、原因がスギ花粉であると判明、そこで報告されたのが始まりでした。
つまり、この時点で既に花粉症患者というものは現れていたということなのですが、今ほど患者も多くなく、スギの状況も今ほどではなかったため、アスリートたちへの影響についても言及されていなかった可能性があります。
(もちろん、我慢していた選手や花粉症だとわからなかった選手もいるかもしれませんが)
ですが、2019年の今では、「4人に1人が花粉症」と言われる時代です。
当然、アスリートたちも花粉症に悩まされているのです。
100年前からある花粉症
先ほど、「大きくアスリートたちの花粉症について取り出されてはいない」ということは書きましたが、悩まされていたスポーツ選手はもちろんいます。
1918年、今から約100年前に、錦織選手より昔に全米オープンでベスト4に入った熊谷という選手がいました。
ソフトテニス出身で左利き、世界の強豪を倒し準決勝まで行ったにも関わらず、まさかのストレート負け。
その理由が「酷い花粉症」ということで、試合中に涙が出るほどの症状に悩まされていたのです。
場所が全米オープンだったといこともあり、もしかしたらスギ花粉ではなくブタクサの花粉症かもしれませんが、このように、わずかな体調の変化が試合に影響するアスリートにとって、花粉症は大敵なのです。
オリンピック候補選手の約○割が花粉症!?
さて、日本のオリンピック選手は何人いると思いますか?
2018年の平昌オリンピックでは124人の日本人選手がオリンピックに出場しました。
オリンピック候補選手ともなれば、この倍以上の人数でしょう。
国立スポーツ科学センターでのメディカルチェックの結果でも、オリンピック候補選手の約3割が花粉症だという話が出ました。
アスリートはどのように花粉と戦っている?
基本的にアスリートは多少の花粉症症状は「我慢して」過ごしているという意見が多くあります。
その他は、マスクをする・ゴーグルをする・洗顔やうがいといった、基本的なこと。
それは、「花粉症の薬がドーピングに引っかかるから」。
一部の花粉症の薬はドーピング禁止薬物が含まれているため、一般の人には問題が無くとも、選手としては使用できないことが多く、違反にならないように心配して使えないのです。
因みに、ドーピングで引っかかる成分として、麻黄(まおう)という漢方の成分があるのですが、これは、葛根湯や花粉症でよく使われる小青竜湯といった、ごく身近な物にも入っているのです。
そんな身近なものですら引っかかることを考えると、確かに下手に薬を飲むのは怖くなってしまいますよね。
花粉症が理由で引退も……
北京五輪とロンドン五輪のマウンテンバイク男子で連続金メダルを獲得した、フランスのジュリアン選手という方がいたのですが、その方は2018年5月、花粉症を理由に現役引退を発表しました。
彼の場合、北欧の花粉にアレルギーがあったため、どこへ行っても花粉症に苦しめられ、酷い時は呼吸困難になったり、気管の中で血の味を感じたりという状況だったそうです。
治療使用特例もある
ジュリアン選手のように命に関わるようなレベルの花粉症である場合、アスリートには「治療使用特例(TUE)」と言うものがあります。
スポーツ選手として禁止物質や禁止方法であっても、事前に所定の手続きをすることによって例外的に治療や薬の服用が認められることもあるというものです。
ですが、こうした特例もなかなかやりにくかったり、毎日練習が必要で忙しい選手にとっては、治療そのものが負担だったりすることもあります。
結局スポーツ選手でもできる花粉症対策は……
屋外競技の場合はゴーグルなどを着用し、練習意外ではマスクを着用。
外から帰ってきたらうがいや手洗い、洗顔などで花粉を落とすという基本的なこと。
そして、抗ヒスタミン薬などドーピングで引っかからないものを検査の1ヶ月前まで服用する。
(もちろん、スポーツドクターなどに要相談)
最後に、体内の活性酸素を増やさないよう、ビタミンをたくさんとって、甘い物や辛いもの、飲酒を避けて、ストレスをなるべく溜めないようにするのが大切でしょう。
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