花粉症治療の最前線「今医療業界でどのような治療法が開発されているのか」

研究

新しい開発が進められていく花粉症治療の最前線について

舌下免疫療法や減感作療法など、ステロイド薬でしか対処することのできなかった、花粉症の歴史から見ると、今ではかなり多くの治療法が確立されてきました。

ですが、残念な事にまだどれも80%以上の効果を発揮するものはなく、また、完治させるには至っていません。

国民病とも言える花粉症治療の研究は、日進月歩で進んでいる中、2018年を目前とした今はどのような花粉症治療が確立されつつあるのでしょうか。

昨今の医療業界での最前線をみてみましょう。

もう少しで完成されそうな舌下免疫療法

今最も注目されているのが舌下療法

「シダトレン」とも呼ばれる新薬を舌下に垂らすことによって、今まで1の花粉量で症状を発症していた者が、10の花粉量まで耐えられるように体質が変わっていく治療法です。

シダトレン……これはアレルギーの原因物質で、スギ花粉症患者ならスギ花粉を特別な方法で抽出、薄めた薬ですが、こうしたものを毎日少量体内に取り込むことによって、アレルギー物質に身体を慣らし、アレルギー反応を起こさないようにする方法です。

花粉だけではなく、ダニアレルギー等にも対応できるようになりましたが、その場合は錠剤となります。

2014年から保険適用となったので、受診料や検査料などを除くと、治療費は代替1000円~2000円。

但し、2割ほどの患者には効果がなく、3~5年の長期間にわたって毎日舌下投与をする必要性があります。

ヒトによっては、口にかゆみや腫れなどの副作用が出ることもあり、だいたい1時間ほどで治まるものの、効果のない患者にとっては、ただ負担や苦痛を味わうだけという、あと一歩のところの治療法です。

シダトレン

※写真はイメージです※

2007年から考えられてきたオーダーメイド医療

オーダーメイド医療とは、患者の遺伝子診断を行い、その患者の身体に一番合う(良く効く)薬を探る方法です。

花粉症に限らず、酷い副作用を起こす抗がん剤などでもこうした治療が有意義に使えないかと研究が進められていますが、日本人のおよそ7割がアレルギーを起こしやすい遺伝子を持っているとされている中、遺伝子レベルで合う薬を見つけられるのはありがたい事でしょう。

研究

アルゴンプラズマ凝固治療

鼻粘膜を広範囲で浅く、高周波で固めるようにして焼く治療です。

説明だけ聞くととても痛そうな治療に聞こえますが、アルゴンガスの流れを用いて効率よく電気を集中させて焼くため、痛みが軽く、短時間の施術で済む上にレーザー治療法と同等以上の効果があるとされています。

これは、アレルギー性鼻炎が酷く、抗ヒスタミン薬等でも抑える事ができない方にできる治療法で、費用も保険適用の5000円ほどで済みます。

ただし、飛散シーズン中や症状が酷い場合は落ち着くまでできない。

妊娠中や高度な鼻中隔わん曲症の方等ではできない場合もあり、さらに、術後症状が落ち着くまでは1週間に1度の通院が必要となります。

ただ、効果の持続期間が長く、1シーズンから3年程度効果が持つ場合もあります。

残念なのは、症状によっては複数回行わなくてはいけなかったり、鼻症状以外の花粉症症状には効果がないことです。

耳鼻科

2016年から処方開始の新薬ビラノアとデザレックス

抗ヒスタミンの一つとして新薬「ビラノア」(ビラスチン)が処方されるようになりました。

この新薬は、服用後の血中濃度が1時間でピークになり利き目が速く現れるのが特徴です。
さらに、抗ヒスタミン薬の主たる副作用である「眠気」が、あのアレグラよりも起こりにくいとされており、最も眠くなりにくい薬として登場しました。

花粉症の薬の定番「アレグラ」について

2017.09.24

そして、同じく2016年11月から保険適用となった、新薬「デザレックス」(デスロラタジン)も速効性があり、かつ、長く効く抗ヒスタミン薬として処方されるように成しました。

デザレックスは血中濃度が半分になるまでにかかる時間が19.5時間と、今までの抗ヒスタミン薬の中で最も長く、食事の影響を受けにくいと言われています。

これら新薬は、花粉症を治療するための物ではありませんが、より身体に優しく、より広い選択肢を持って薬が選べるようになるのは医学の進歩とも言えるでしょう。

新薬
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ABOUTこの記事をかいた人

ライター/印刷会社を得てフリーで活動するライター。自らのアレルギー・花粉症の経験を元に、多くの花粉症予防・対策について記事をしたためている。 健康オタクで、漢方・整体・鍼に詳しい他、毎日のエクササイズも欠かさない。