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アレルギー性鼻炎の治療法についてまとめてみよう
アレルギー性鼻炎には、花粉症と同じく「完治性の治療法」というものはないと言われています。
完治性の治療とは、例えば、風邪であるなら体からウイルスなどがなくなり、喉や鼻の炎症が治り、熱も出なくなったという状況です。
もちろん、しばらくしたら再び風邪をひいてしまうかもしれませんが、「薬を飲まなくなったから、熱が出る」などといった、薬がないと症状が抑えきれないという状況はなくなるかと思います。
ですが、アレルギー性鼻炎はアレルゲンがある限り、なんらかの対処をしなければずっとその症状は出続けてしまうでしょう。
これが、完治性のある、なしといった区別。
アレルギー性鼻炎の治療は、基本的に薬物療法やレーザー治療などで抑えていくのがメインとなりますが、どのようなものがあるのか。
また、それらはどのような効果があるのかなど、メリット・デメリット含めて調べて見ましょう。
薬物療法
薬物療法とはアレルギー性鼻炎の一番メインとなる治療法でしょう。
くしゃみ・鼻水・鼻づまりといったことを、抗ヒスタミン薬を飲んだり、ステロイド点鼻薬を使用することによって抑えていきます。
もちろん、薬の服用をやめると症状は出てきてしまいますが、最も手軽で、最も一般的な治療法となるでしょう。
【種類】
- 血管収縮剤
- 抗ヒスタミン薬
- ステロイド点鼻薬
- 抗アレルギー剤
等
【メリット】
- アレルゲンがどのようなものであっても、症状を緩和することができます。
- 症状が出ている部位に合わせて薬を選ぶことができます。
(目のみなら点眼薬。鼻なら点鼻薬など) - 利き目が早く、しかも効果的に現れます。
- 今時の薬なら副作用も少なく、重篤な後遺症が現れる可能性も非常に低くなっています。
- 多種多様な薬があるため、自分に最も合ったものを選ぶこともできます。
【デメリット】
- 服用をやめると症状が再び出てきてしまいます。
- 副作用は少ないとはいえ、やはりでるケースもあります。
(主に眠気や口の渇きなど) - 長期的に服用すると体が馴れてしまったり、肝障害が出てしまうこともあります。
- 自分に合った薬がなかなか見つからないこともあります。
- 飲み忘れなどの手間がかかります。
手術療法
手術でアレルギー性鼻炎が治るわけではないのですが、アレルギー反応を起こしてしまう鼻粘膜を焼いたり、神経を切断したり、鼻を塞いでしまう要因となる骨を削ることによって、コントロールをしていく方法となります。
薬物療法と異なり、一度手術が成功すると、8割以上が薬の服用なしに日常生活に支障がない程度にまで症状が治まったり、7年以上その効果が持続します。
薬で抑えきれない。
妊娠出産や長期出張などを予定しており薬を飲みたくない。
体質的に薬を飲むことができない。
こういったケースであれば、すすめられるケースのある、比較的簡単・安全な部類の治療法です。
【種類】
- 下甲介粘膜焼灼術(レーザー治療・アルゴンガス凝固術)
- 粘膜下下甲介骨+後鼻神経合併切除術(だいたいセットです)
- 後鼻神経凍結手術
等
【メリット】
- 薬を飲まずに症状を抑えることができます。
- 効果が高く、8割くらいの患者さんは症状が治まると言われています。
- 持続性も高く、5割くらいは7年経ってもその効果を感じているとされています。
- レーザー治療がだめな場合でも後鼻神経切断手術(アレルゲンを感じる神経を切断する手術)や粘膜下下鼻甲介骨切除術(鼻の奥の下の方の骨を削り鼻が詰まりにくくする手術)など、選択肢があります。
- レーザー治療やアルゴンガス凝固術なら日帰りでもでき、安全性も高い手術です。
【デメリット】
- 後鼻神経切断手術や粘膜下下鼻甲介骨切除術は、入院期間を7日ほど要する比較的大きめの手術で負担が大きくなってしまう。
- 日帰り手術でも、しばらくは鼻血が出たりと支障が出てしまいます。
- 100%の人に効果があるわけではなく、中には手術をしても効果を感じられない人もいます。
- 神経を切断する手術などは、場合によっては後遺症などがでることもあり、慎重に検討する必要性があります。
- 効果は高いのですが、それでも一生持続するわけではない。
- 薬物療法よりかは高額になります。
(但し、永遠と薬を処方してもらうよりかは、トータルで安くなるかもしれません) - 人によっては手術が受けられないケースもあります。
アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法とは、アレルギーの原因となる物質を少量ずつ体内に取り込んで、アレルゲンに慣らして、アレルギーそのものを起こさなくするための治療法です。
成功するとほぼ完治に近い効果が得られるのが特徴です。
但し、治療自体が長期的なものとなる上に、今もまだ研究中な部分もあり、難しい治療法でもあると言えます。
【種類】
- 皮下免疫療法(皮下注射で体内にアレルゲンを入れていく方法)
- 舌下免疫療法(アレルゲンの入ったカプセルなどを舌の下に入れて摂取していく方法)
【メリット】
- 体質的にアレルギーの発生そのものを抑えることができるようになります。
- 薬の量を減らすこともできます。
(完了すると薬を飲まなくても大丈夫になることも) - 在宅治療可能で、安全性も高いとされています。
【デメリット】
- 長期的な治療が必要となります(平均3年から5年)
- 途中でやめてしまったり、別のアレルギーになってしまった場合は再び位置からやり直すことになります。
- 効果がなり場合もあるため、長期的な治療が無駄になることもあります。
- 定期的な服用や通院が必要になるため、多忙な人や子ども、マメではない人の場合は効果が出ないことが多々あります。
- 幼児や妊婦、気管支喘息を持っている方など、治療できない人もいます。
- ハウスダスト・スギなどのいくつかの花粉のみしか、まだ対応できていません。
- 比較的安全で、副作用も局所反応(注射した部分にかゆみが出たり腫れたり、口の中が痒くなったりするなど)におさまりますが、稀に、アナフィラキシーショックの一歩手前のような症状になることもあります。
そのため、初回のアレルゲン投与後は30分ほど医師が観察するのが普通とされています。
【アレルゲン免疫療法の注意点】
比較的副作用も起こりにくく、アレルギー反応も局所的なものであるとされていますが、食べて馴れる経口免疫療法はいまだ研究段階で、2017年に経口免疫療法を受けていた子どもがアナフィラキシーショックに陥り、低酸素脳症となってしまったことで、さらに警鐘が鳴らされるような事態になりました。
花粉症やハウスダストでの舌下免疫療法では、比較的安全性が保証されていますが、食べて馴れるタイプの免疫療法の場合、アナフィラキシーショックを起こす可能性が6~9%と比較的高頻度で、リスクの高い治療法となっています。
まだ、安全性の確保に課題の残された治療法と言えるでしょう。
アレルギー性鼻炎の一番の治療法は……?
アレルギー性鼻炎の治療法は、薬物療法や手術、免疫療法など色々とありますが、いまだに安全性と確証性の両方が確実にあるものがあるわけではありません。
手術などもできればしないにこしたことはありませんし、免疫療法も時間も費用もかかってしまう治療法です。
そう考えると、アレルギー性鼻炎の一番の治療法は「自分の体質改善」と、「アレルゲンを摂取しないこと」になってきます。
ハウスダストや花粉などは身近に存在し、100%遠ざけることはとても難しい問題ですが、毎日の掃除やマスク等の対策をすること。
そして、規則正しい生活やストレス解消。
運動不足解消や体によい食生活を心がけたり、サプリメントや健康茶などを取り入れてみるだけでも、そのアレルギー性鼻炎の症状が抑えられてくるかもしれません。
その上で、抑えきれない部分を薬の服用や、外科的治療法などで試していくというのがベストな対処法、治療法でしょう。
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