アレルギー性鼻炎の手術の種類や費用などを徹底調査

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アレルギー性鼻炎で行う手術の全てを知り尽くそう

アレルギー性鼻炎は花粉症やその他のアレルギーと同じく、「病気」と言うよりも、体質的な部分が大きい疾患です。

ですので、薬を飲んでもアレルギー性鼻炎が「治る」ということもなく、手術をしても実は「治る」とは言い切れないものなのです。

ですが、手術をすることによって、強固なアレルギー性鼻炎でもその症状をほぼない状態にまですることができたり、薬を飲まずとも長期的(年単位)にその症状を抑えていくことが可能となります。

今回はそんな、アレルギー性鼻炎の手術について調べていこうと思います。

アレルギー性鼻炎に対応する手術は3種類

<その1>下甲介粘膜焼灼術

レーザー治療・アルゴンガス凝固術と呼ばれるもので、鼻粘膜をガスレーザーなどで浅く焼き、鼻粘膜での反応を起こしにくくする手術方法です。

アルゴンプラズマ凝固治療とレーザー治療の比較

2018.01.19

粘膜が腫れにくくなるため、鼻水やくしゃみ等の鼻症状にとても効果的で、ハウスダストなどに対する有効性は約80%、花粉などに対しての有効性も75%以上とも言われています。

レーザー治療もアルゴンガス凝固術も、鼻粘膜表面に局所麻酔を施す程度で痛みも全くと言ってよいほど感じられず、日帰りでできるため、安全性も高く、アレルギー性鼻炎の手術といえばこれらを指すことがほとんどです。

手術時間は麻酔を当てる時間も含め30分程度がほとんどですので、本当に簡単な手術の部類に入ります。

但し、手術自体は日帰りで可能ですが、術後はかさぶたができたり、鼻血が出ることがあり、完全にその効果を発揮するのは4週間後くらいになります。

下甲介粘膜焼灼術の効果

くしゃみ・鼻水・鼻づまりの3大鼻症状について、術後1ヶ月後では「ほとんどなくなった」「半分以下になった」という回答が83%にも上るとの統計があります。

但し、下甲介粘膜焼灼術は1度手術をすれば生涯効果的なものでもなく、術後7年も経つと半数の人がその効果を感じられなくなってしまうそうです。

下甲介粘膜焼灼術の費用や保険は?

お金

下甲介粘膜焼灼術は保険対象です。

手術の際には、検査や術後の経過観察などの費用もかかりますが、手術自体は5,000円から10,000円で治まるところがほとんどですので、大きく見積もっても自己負担額は平均的に10,000円でしょう。

下甲介粘膜焼灼術ができない人

嫌がる男性

下甲介粘膜焼灼術は局所麻酔でやる手術なため、何らかの障害などで、施術中の10分間じっと座っていることができない人は難しいでしょう。

もちろん、小学校低学年くらいまでのお子様も、大人しいといってもやはりどのような動きをするかわからないため、リスクを考えるとお断りされるケースも多いです。

また、キシロカインという局所麻酔を使用することが多い為、この麻酔薬にアレルギーがある場合は当然難しいため、麻酔薬に関して相談ができる場所を選ぶ必要性はあるでしょう。

そして、他の病気で鼻が詰まっている場合も下甲介粘膜焼灼術は受けられません。

(他の病気)慢性副鼻腔炎で鼻ポリープができている。鼻に腫瘍ができている。アデノイド増殖症等。

その場合は、その原因となる病気を治療してから、検討すると良いでしょう。

それ以外では、妊娠中や授乳中でも大丈夫です。

麻酔に耐えられ、レーザー等で鼻粘膜を焼くということに心身共に耐えられる様であれば、高齢でも大丈夫ですので、「アレルギー性鼻炎で手術」となった場合に一番初めに考える手術と思いましょう。

<その2>後鼻神経切断手術&粘膜下下鼻甲介骨切除術

入院

鼻の奥の方にある、アレルギー反応を伝達する役割を持つ副交感神経を切断し、さらに、鼻粘膜の下の方にある骨(簡単に表現しているのでだいたいだいと思ってください)を切除することによって、鼻腔を拡大し鼻づまりが起こりにくくなるという手術です。

この手術はレーザー治療・アルゴンガス凝固術などを行っても全く良くならず、重度のアレルギー性鼻炎や下甲介肥大で生活に支障がでている方が行う手術です。

粘膜下下鼻甲介骨切除術のみ、後鼻神経切断手術のみと、別で行う病院もありますが、両方行うことによって確実に鼻炎を抑えることができる、根治性の高い手術です。

手術自体は内視鏡を鼻の穴から入れて行い、だいたい片方の鼻で40~50分かけて行い、入院期間も平均二泊三日、できれば7日~10日の入院を理想としている少し大々的な手術です。

後鼻神経切断手術&粘膜下下鼻甲介骨切除術の効果

鼻粘膜で起こったアレルギー反応は知覚神経が脳へと伝えていきます。

そして、今度は脳から「くしゃみをしろ、鼻水を出せ」という指令が分泌神経を介して伝わってくるのですが、アレルギー性鼻炎の人はこの神経反応が過敏になって、少しの刺激でも酷いくしゃみや鼻水が出るのです。

そうすると、冷たい空気を吸ってしまっただけとかでもくしゃみが出るようになってしまうので、後鼻神経を切断しアレルギー反応が起こらないようにしてしまうのです。

さらに、神経は切ったままにしておくと再び新しい神経が伸びて鼻炎が再発しやすくなります。

人間の治癒力の表れなのですが、これでは本末転倒となるため、鼻腔内の軟骨で蓋をするような処置を行い、粘膜下下鼻甲介骨切除術という、鼻の粘膜の下側の骨を切除し、腫れた粘膜を丁度良い大きさにする手術を行い、アレルギーが起こらない、起こっても鼻が詰まらない状態に持っていきます。

そのため、術後は「くしゃみが90%」「鼻水が75%」「鼻づまりは100%」の確立で効果を感じられるという結果が出ています。

また、3年後でも88%の人が効果の持続を感じており、この手術はアレルギー性鼻炎の最終的な手術方法として、認識されていると言われています。

下甲介粘膜焼灼術の費用や保険は?

高額

日本ではおおよそ、入院費も含めて約20万円ほどかかるのですが、保険も適用されるため、高額療養費制度を使用して10万以下で手術を受けることが可能です。

また、多くの保険会社での手術給付金対象となっています。

因みに、内視鏡の進化により、日帰りでもできるとしている病院も出ていますが、その場合でも後鼻神経切断手術片方で93,000円(両方で186,000)、粘膜下下鼻甲介骨切除術で17,000円と、やはり高額になります。

日帰りでできるならば……と思われる方もいるかと思いますが、この手術は比較的安全性が高いとはいえ、しばらくしてから鼻の出血が止まらなくなるというリスクもあり、また、神経は一度切断してしまうと元に戻らない(戻っても元の状態にはならない)ことがあり、合併症や後遺症が起こっても治療が行えません。

さらに、術後1ヶ月は飲酒や激しい運動を避けなければいけないため、家で大人しく過ごすことができない。もしくは、不安が残る場合は、入院前提で手術を行った方が良いでしょう。

もちろん信頼のある医師の元、確証を互いに得た上でしたら、日帰りでも大丈夫かもしれませんので、よく相談をしてみましょう。

後鼻神経切断手術&粘膜下下鼻甲介骨切除術ができない人

だめ

後鼻神経切断手術や粘膜下下鼻甲介骨切除術は最終的な手術となります。

症状が軽度の方はまずはレーザー手術などを試すようにしてみましょう。

コントロールができない高血圧や気管支喘息、重度の糖尿病や心疾患、脳血管障害がある場合も手術が難しいことが多々あります。

また、骨を切除するような手術の場合、成長と共に骨が再び戻ってしまったり、変形する可能性があるため、未成年者は受けられないケースがほとんどですので(命に関わる場合などは除く)、骨格が完全にできあがって後の相談となるでしょう。

また、妊娠・授乳中の方に関しても、入院が必要となるため難しいかと思われます。

効果があるもののそれなりのリスクのある手術として、後鼻神経切断手術や粘膜下下鼻甲介骨切除術は余程の重症の場合の砦として考えるとよい手術でしょう。

<その3>後鼻神経凍結手術

冷凍

後鼻神経凍結手術とは、あまり効いたことのない手術ですが、鼻の粘膜にある知覚神経を凍らせ、反射を抑えて、くしゃみや鼻水を止める手術となります。

この場合、後鼻神経切断手術と異なり、神経を切ったりすることがないため、術後の負担やリスクも少なく、日帰りで可能なのでより安心して、そして少し気軽に受けられる施術でしょう。

手術は局所麻酔で行い、冷凍装置を鼻から差し込み後鼻神経を数分間冷却するだけなので、時間も両方で5分くらい(準備も入れると20分くらい)で済みます。

もちろん、匂いを感じる神経とは別の場所なので、嗅覚に異常を来すこともありません。

後鼻神経凍結手術の効果

効果

基本的にレーザー治療等を行っても症状をコントロールできない場合に進められる手術で、時間と共に凍った部分が溶けて元に戻る……ということもありません。

効果のほどはレーザー治療とほぼ同じで、だいたい8割くらいの方が効果を感じ、3年後になると効果の減少を感じてくるというケースがほとんどな様です。

下甲介粘膜焼灼術で上手くいかない場合の、別の方法だと思うくらいで丁度良いようです。

ただし、下甲介粘膜焼灼術+後鼻神経凍結手術と組み合わせて行う場合もあるため、医師と良く相談すると良いでしょう。

後鼻神経凍結手術の費用や保険は?

あまり情報がないため難しいのですが、大抵下甲介粘膜焼灼術と同じように記載されていたため、10,000円くらいで可能なようです。

もちろん、保険対象です。

後鼻神経凍結手術ができない人

だめ

椅子に座って手術を受けられることができれば、下は小学生くらいから、上はかなりの高齢の方まで可能です。

ただし、これも麻酔にアレルギー反応などが出ないことが前提です。

昔に比べ手術の負担も軽くなり、より幅広い、様々な手術方法が出ています。

どうにも辛い場合は、QOF向上のためにも一度医師に相談してみると良いでしょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

ライター/印刷会社を得てフリーで活動するライター。自らのアレルギー・花粉症の経験を元に、多くの花粉症予防・対策について記事をしたためている。 健康オタクで、漢方・整体・鍼に詳しい他、毎日のエクササイズも欠かさない。