長期戦になりがちなアレルギー性気管支喘息の治療と予防を知ろう
一度アレルギー性気管支喘息になってしまうと、どうしても長期的な治療が必要になってしまいます。
アレルギー性気管支喘息とは慢性的な気管支(気道)の炎症により、ふとしたきっかけで発作的に咳が止まらなくなってしまうもの。
日常生活にも支障が出てしまいますし、時には命に関わることもあります。
そんなアレルギー性気管支喘息を抑え、予防していく方法を知りましょう。
メインの治療は「ステロイド吸引薬」
アレルギー性気管支喘息は、気道が炎症していることと、気道が狭くなってしまうこと(気道狭窄)が原因ですので、これらを治療していきます。
【ステロイド吸引薬】
メインの治療法は「吸入ステロイド薬」によって、炎症を抑えていくことです。
ステロイド薬には強い抗炎症作用がありますが、効果が出るまでに3~7日ほどかかると言われています。
また、止めると効果がなくなってしまうため、完全に咳が出なくなるまで、「長期期間」「毎日」欠かすことなく続ける必要があります。
ステロイドの副作用が心配になることも多いのですが、基本的に喘息で用いられるステロイドは「吸入薬」といって、口に吸引器を咥え、粉状になったステロイドを吸い込み、気道に直接作用させる物ですので、内服薬として使用するよりも用いる量が1/100ととても少なく、負担はかなり軽減されています。
もちろん、使用後はうがいをする等の管理が必要ですが、小さなお子さんでも安心して使うことができるでしょう。
<<ステロイド吸引薬の一例>>
- パルミコート
- フルタイド
- アズマネックス
【気管支拡張薬】
そして、次に必要となるのが、狭くなってしまった気管支を広げる「気管支拡張薬」
気道が狭くなってしまうと呼吸がしにくくなる上に、些細な刺激が伝わりやすくなり咳が出てしまいます。
そんな気道を広げるのに必要なのが「β2刺激薬」と呼ばれる、気管支拡張薬。
吸入薬、内服薬、貼り薬のタイプがありますが、主に交感神経を刺激して気道を広げていくため、人によっては動機や手の震えが出ることがあります。
筆者も、貼るタイプの気管支拡張薬を貼った際に、激しい手の震えと動機が起こり、やむなくステロイド吸引薬のみの治療としていました。
医師や症状によっては貼り薬を小さく切ったり、内服薬を割って少量を服用するよう指示することもあります。
<<気管支拡張薬の一例>>
- ホナクリンテープ
- テオドール錠
- ベロテック
その他にもある治療薬
基本的に気管支拡張薬とステロイド吸引薬で治療していくアレルギー性気管支喘息ですが、他にも有効な薬はあります。
今では、気管支拡張薬とステロイド吸引薬が一緒になった「吸引ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤」というものがあり、別々に使用するより同時に気管支拡張と抗炎症作用が起こるので、効果が高くなるとメインになりつつあります。
<<吸引ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤の一例>>
- レルベア
- シムビコート
- アドエア
その他、気道の収縮・炎症を引き起こすロイコトリエンを抑えるロイコトリエン受容体拮抗薬。
気道を広げ、炎症を抑えるテオフィリン徐放薬。(但し、血中テオフィリン濃度が高くなると中毒症状が出るため、医師の管理下での使用が勧められます)
ステロイド吸引薬を使用していてもコントロール不可能な、重症の患者さんに用いられることになる、気管支喘息の原因となるIgE抗体を抑える、抗IgE抗体注射。
抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬等も効果的で、その症状に合わせて処方されています。
アレルギー性気管支喘息を予防しよう
一度アレルギー性気管支喘息になってしまうと、その治療は長期に渡り、生活にも支障が出てしまいます。
そうならないためにもアレルギー性気管支喘息にならないよう、早め、早めの予防をしていきましょう。
また、なってしまったとしても、症状が抑えられている間は予め対策を行うことによって発作を抑えられることができます。
- 季節性のアレルギー性気管支喘息の方の場合、症状のあるときだけではなく、症状が出る前から予防的にステロイド吸引薬や抗アレルギー薬等を服用し予防しましょう。
- ダニやスギにアレルギーがある方は、舌下免疫療法なども効果的です。
- ストレスは極力溜めないように。
- タバコは喘息の最たる原因にもなり得ます。ご自分や家族のためにも禁煙をしてみましょう。
- ハウスダストが原因の場合は小まめな掃除、空気清浄機の取り付けなどでも症状が緩和されます。
- アレルギー検査を行い、自分のアレルギー源を把握しておきましょう。
- 実は肥満も喘息の発作の原因にもなり得ます。健康的な体重になるようダイエットをしましょう。
- 風邪等で咳が出るようになってしまった場合、咳喘息からのアレルギー性気管支喘息になるケースが非常に多いので、咳症状が出た場合は速やかに病院へ行きしっかり治療しましょう。
- 逆流性食道炎等でも気管支が延焼する場合があります。胸焼けを伴う咳が出る場合は、一度消化器内科で検査をしてもらいましょう。
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