「ステロイド吸引薬」「気管支拡張薬」についての保存版

吸入器

アレルギー性気管支喘息のお薬はタイプも種類もたくさんある!

薬には飲み薬だけではなく、吸引薬や点鼻薬、貼るタイプのお薬もあれば、塗るタイプのお薬もと、たくさんの種類があります。

基本的にアレルギー性気管支喘息には「吸引薬」がメインとなりますが、その吸引薬の中でも、ステロイド薬だったり、ステロイド薬と気管支拡張薬が混ざった物だったりと、様々な種類があります。

今回はそんなお薬の中から、アレルギー性気管支喘息の時によく処方される「ステロイド吸引薬」と「気管支拡張薬」をピックアップしてみました。

アレルギー性気管支喘息のメインの薬「ステロイド薬」

アレルギー性気管支喘息は基本的にステロイド吸引薬をメインとして、使用していきます。

喘息の治療薬にには「コントローラー」として長期管理薬、つまり発作を予防し気管支の慢性的な炎症を抑えたり、呼吸をしやすいよう気道を広げるためのお薬と、「リリーバー」と呼ばれる、発作を起こしたときに使う、応急的なお薬が必要となります。

ステロイド吸引薬はこのうち、コントローラーに含まれるもので、炎症を抑えるための物です。

今時ではステロイド薬と気管支喘息がミックスされたお薬を処方されることが多いのですが、こちらでは「ステロイド薬」のみの物をいくつかリストアップしてみましょう。

吸引ステロイド薬のみの物にももちろんメリットデメリットがあります。

【メリット】

  • 気管支拡張薬の副作用がない。
  • 薬価がやや安くなる

【デメリット】

  • 症状が軽度の場合にしか、あまり向いていない。

吸入ステロイド薬(単剤)の種類

単体

<ドライパウダー>

フルタイドディスカス(製薬会社:グラクソスミス)

⇒世界初の吸入ステロイド薬で1998年に発売されています。1回の吸引で12時間の効果が持続。甘みがあり子どもでも飲めます。

アズマネックス(製薬会社:MSD)

⇒2009年に発売されたドライパウダーで、匂いも味も全くないのが特徴。子どもには服用できませんが、1回の吸入で12時間の効果を持続できます。

パルミコート(製薬会社:アストラゼネカ)

⇒2002年に発売。粉っぽさがなく子どもでも吸引可能。少々苦みがあるのですが1回の吸入で12時間の効果を持続します。

このようにステロイドのみのドライパウダータイプのお薬は、比較的症状が軽かったり、子どもなどに処方される向きがあります。

また、気管支拡張薬に副作用を敏感に感じてしまう場合でも、このような単剤タイプのステロイド吸引薬を処方するケースがあります。

<エアゾールタイプ>

フルタイドエアゾール(製薬会社:グラクソスミス)

⇒匂いも味もほぼなしで、1回の吸引で12時間持続のお薬。子どもでも使用可能。

キュバール(製薬会社:大日本製薬会社)

⇒エアゾールタイプでは古いタイプの2002年発売。アルコール臭はあるものの、子どもでも使用可能で、1回の使用で12時間の効果が持続します。

オルベスコ(製薬会社:帝人ファーマ)

⇒アルコール臭もありますが、なんと1回の使用で24時間も効果が持続するので、時間の無い方、忘れてしまいそうな方にもおすすめ。子どもでも使用可能です。

エアゾールタイプは、ドライパウダーが吸い難い高齢者や子どもに向いている、中の圧力で薬を飛ばしてくれる吸入器です。

特に呼吸器官が弱くなって、吸い込む力がなくなってしまっている場合でも使用できます。

<ネブライザー>

ネブライザー

パルミコート吸入液

⇒ドライパウダータイプのパルミコートのネブライザーバージョン。
ドライパウダータイプでもエアゾールタイプでも適切に薬を吸い込むことのできない高齢者や乳幼児に、ミスト状にしてお薬を吸入させるための物です。

今のところ、6ヶ月以上5歳未満の乳幼児に使用できる唯一の吸入ステロイド薬とされています。

吸引ステロイド薬と気管支拡張薬の合剤

複合

今ではこちらがメインで処方されることの多い、合剤タイプの吸入薬。

【メリット】

  • 気管支拡張効果も得られる。
  • 抗炎症作用も気管支拡張作用も得られるため、効果が出やすい。

【デメリット】

  • 気管支拡張薬独自の副作用が出る可能性がある。
  • 薬価が高くなりがち。

吸入ステロイド薬+気管支拡張薬(合剤)の種類

<ドライパウダータイプ>

シムビコート(製薬会社:アストラゼネカ)

⇒2010年に発売された合剤でCOPD(肺気腫)の治療でも使用することができるお薬。パルミコートにβ2刺激薬が混ざっています。効果が出るまでの時間が1分と短く、軽症者であれば発作時でも使用可能。匂いも味も粉っぽさも全くなく、処方されやすいお薬です。但し、子どもには使用できません。

アドエアディスカス(製薬会社:GSK)

⇒初の合剤吸入薬で、子どもでも使用可能。効果が出るまで15分。1回の吸入で12時間の効果が持続します。粉っぽいものの、ほのかに甘みがあり、子どもでも使用することができます。

レルベア(製薬会社:GSK)

⇒2013年発売と、今のところかなり新しい部類に入るお薬。効果が発揮するまで15分。但し、1回の吸入で24時間効果が持続します。粉っぽさはあるものの、甘みがある方ですが、子どもには使用できません。

合剤タイプのドライパウダータイプが向いている人は、先述の単剤タイプのものでは効果が感じられなかったり、別途での気管支拡張薬で使用量が調節できず副作用が出てしまったりした場合に向いているでしょう。

もちろん、吸引力に問題はないものの、症状としては気管支拡張薬を使った方が良さそうな場合でも処方されます。

<エアゾールタイプ>

アドエアエアゾール(製薬会社:GSK)

⇒2009年発売のアドエアディスカスのエアゾールタイプ。匂いも味もほぼなく、子どもでも使用可能です。1回の吸入で12時間効果が持続します。

フルティフォーム(製薬会社:杏林製薬)

⇒2013年と比較的新しいアドエアのエアゾールタイプ。アルコール臭がややあるものの、シムビコートと同じように1分で効果が発揮。ただし、発作時の使用はあまりすすめられていません。噴霧速度がゆっくりで吸い込みやすいのですが、子どもへの使用は適していないとされています。

吸引薬への知識もつけよう

知識機

今回このように、「ステロイド薬のみの吸入薬」と「気管支拡張薬が合わさった合剤タイプの吸入薬」がある、と記したのは、医師の中でも、合剤を処方したにもかかわらず、「これはステロイド吸入薬ですよ」としか説明せず、他の病院などでもらった気管支拡張薬を使用して、気管支拡張薬独特の副作用を起こしてしまったり、また、ちょっと酷いケースですと、医師自身もわかっておらず、合剤と共に気管支拡張薬を合わせて処方してしまうケースがちらほらと見られるからです。

筆者も、呼吸器科ではない普通の内科でお薬を処方された際、気管支拡張薬と共に合剤タイプの吸入薬を出されたことがあり、激しい動悸、手の震えという副作用を起こしてしまったことがあったため、処方されたお薬が「合剤タイプ」か「単剤タイプ」かといった、自分の身を守るための知識はつけておいたほうがよいでしょう。

副作用もあるけどとても大切な気管支拡張薬

健康な気管支 喘息の気管支

気管支拡張薬は炎症などで狭くなってしまった気管支を広げ、空気の通り道を作るためのお薬。

ステロイド薬の副作用ばかり目が行ってしまいがちですが、この気管支拡張薬にも「動悸」「手の震え」といった、交感神経に作用するタイプの副作用があります。

こちらのサイトではわかりやすいよう、気管支拡張薬と表記していますが、正確には「β2刺激薬」と呼ばれています。

【気管支拡張薬の種類】

粉剤とシロップ

ホナクリン

種類⇒錠剤・ドライシロップ・外用貼付薬(ホナクリンテープ)

<ホナクリン錠>
1日1回1錠、1日2回の使用を基本とし、症状や年齢によって増減。

<ホナクリンシロップ>
子ども向け。1日40㎎を2回に分けて経口投与。
ただし、年齢や症状によっても増減する。

<ホナクリンテープ>
1日1回胸や、背中、上腕部に貼り、症状によってその大きさをきって調節。

ツロブテロールテープ・セキナリンテープも同じようなものですので、割愛します

【特徴】
心臓の動きを改善する目的で使用する場合もあります。

スピロペント

種類⇒錠剤・顆粒剤

1日2回、1回20㎎を経口投与。場合によっては、頓服として使用。

【特徴】
幼児にも使用可能ですが、年齢・症状により適宜増減するため、医師の指示に従いましょう。
また、抗アレルギー作用もあり、尿失禁の治療に用いられることもあります。

ベネトリン

種類⇒錠剤・シロップ剤・吸入液

<ベネトリン錠>

1回2錠1日3回まで服用としますが、症状が激しい場合などは適宜増減。

<ベネトリンシロップ>

ベネトリン錠の幼児用シロップ。1日3回、1回0.3㎎を基本。

<ベネトリン吸入液>

成人は1回0.3~0.5㎖、幼児は1回0.1~0.3㎖を深呼吸しながら、吸入器で吸い込む。

吸入液などもあり、年齢や症状などによって選択していきます。短期間型というの部分が特等的です。

ベロテック

種類⇒錠剤・シロップ剤・吸引薬

<ベロテック錠>

成人には1回1錠、3日3回を基本とし、適時増減していきます。

<ベロテックシロップ>

幼児に対し使用可能。年齢、月齢に合わせて増減します。

<ベロテック吸引薬>

1回2吸引、成人の場合、効果が不十分な場合はさらに1~2呼吸追加可能。

内服薬や中時間型。という特徴があります。

メプチン

種類⇒錠剤・顆粒剤・ドライシロップ・エアゾールタイプ・吸入液

複数あるため各説明は割愛しますが、内服薬は基本長時間型で、吸入液などは発作時にも使用される幅の広いお薬です。

気管支拡張薬は医師の指示に従って!

気管支拡張薬は発作時に使用したりすることもあり、また、副作用の関係で適宜増減することもあります。

もちろん自分である程度の知識はつける必要はありますが、命に関わる場合もありますので、しっかりと医師や薬剤師の指示に従って用量用法を守って使用しましょう。

また、今回紹介しているお薬は2018年での情報です。

医薬品は日進月歩ですので、数年後には大人だけに使用可能だった薬が幼児も使用可能になっていたりとする場合がありますので、ご注意ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

ライター/印刷会社を得てフリーで活動するライター。自らのアレルギー・花粉症の経験を元に、多くの花粉症予防・対策について記事をしたためている。 健康オタクで、漢方・整体・鍼に詳しい他、毎日のエクササイズも欠かさない。