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世界規模・日本規模での花粉症患者数の推移について
連日「増加の一途をたどる」としか伝えられてこない花粉症患者数ですが、日本規模・世界規模で見ていくと、実際はどのようになっているのでしょうか?
また、増加するばかりだと言われていますが、その理由はなんでしょうか?
花粉症の歴史と共に、この推移をたどっていくと実は面白いことがわかってきました。
日本での花粉症患者数の推移の歴史
日本で「花粉症」という症状が正式に認められるようになったのが1960年代。
その当時は、アメリカからやってきたブタクサのアレルギー症状がほとんどで、患者数もそこまで多くは確認されていませんでした。
ただし、戦後、慌ただしい時代でしっかりとした統計も取られていなかったため、どれくらいの患者数がいたのかはわかりません。
その後、大量にスギが植林されるようになり、いよいよスギの花粉症が日本人の国民病となっていきます。
統計が取られるようになった1998年、日本人のスギ花粉症は16.2%。
当時の日本人の人口は1億2千人と言われていたので、1900万人ほどの患者数だったと推測されます。
そして2008年には26.5%。つまり3300万人にまで増加したという統計がとられました。
たった10年で10%も増加した理由に、高度経済成長による自動車の排気ガスや工場の煤煙などの公害問題が重なったこともあります。
現在では環境を守る社会的な働きによって、空気汚染は少しずつ減ってきていると考えられます。
ですが、一度汚染された空気が浄化されていくのにはとても時間がかかります。
2017年現在ではどのくらいの日本人が花粉症に悩まされているか、しっかりとした数字は出されていませんが、おそらく、もっと多くの人々が悩んでいる可能性はあるでしょう。
世界の花粉症患者数の推移の歴史
日本で花粉症という症状が医学的に認められたのはここ50年ほどの浅い歴史ですが、世界ではもっと前から「枯草熱」として、その症状が知られていました。
アレルギー性鼻炎の世界規模の患者数は4億人と言われていて、その数は増加傾向にあります。
世界規模で見ると、スギだけではなくヒノキ・ブタクサ・イネなど、その国によって多い草花が違うため、なににアレルギー反応を起こす患者が多いのか変わってきます。
ですが、経済の発達と共に、花粉症患者数が増えていることは確かです。
今後の世界規模の患者数の予想
日本に住んでいると、日本だけが大変な状態になっていると思いがちですが、ヨーロッパ各国もかなり大変な事態になっています。
イギリスのイースト・アングリア大学の研究によると今後50年で花粉症患者が3倍になるという報告が出たのです。
日本では、スギやヒノキがメインですが、アメリカやヨーロッパでは、ブタクサとイネ科の植物が主犯格とされています。
それらの植物は、近年の異常気象や地球温暖化によって、人の手では追いつかないほど増加の一途をたどっています。
今までは、ヨーロッパの中でも比較的暖かな地域でしか繁殖していなかったブタクサが、地球温暖化によって、北上していき、ドイツやポーランド、果てはフィンランドといった寒冷地域まで足を伸ばしてきたためです。
そのため、現在ヨーロッパで3300万人いると言われているブタクサの花粉症患者は、あと50年で7700万人にも及ぶとされています。
また、中国やインドなどでは大気汚染が深刻化しており、それに伴うアレルギー患者も増加しています。
ですが、大気汚染が深刻化している国では、そもそもアレルギーの元となる花粉を飛散させる植物が減ってきている……という問題もあるので、アレルギーの大本は煤煙やPM2.5そのものだったりもします……。
これから日本でも増えて行くかもしれない患者数
このように、世界規模で増加していく花粉症患者。
その理由は経済の発展による大気汚染だったり、植林だったり。
また、異常気象や地球温暖化などによるところが大半で、その地域の状態を見るとどのように患者数が増えていくかがわかるのが面白いところです。
日本では、花粉がないスギの栽培に成功し、これから順次今生えているスギと交換するように植林されていく予定ですが、杉の成長は20~40年ほどかかります。
また、今花粉を放出しているスギの伐採や加工も、経済の影響もありなかなか進んでいない状態です。
今の日本では、国内で材木を作り出すよりも、海外から材木を輸入する方が、コストが安く、多用されています。
この先、アレルギーの万能薬が出るのが先か、花粉自体がなくなるのが先かはわかりませんが、まだまだ、花粉症対策の必要性はなくなりそうもありません。
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