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日本で一番始めに確認された花粉症は「ブタクサ」の花粉症だった
現在、日本で一番発症の多い花粉症は「スギ花粉」と言われていますが、日本で一番始めに「症例」が確認された花粉症は、実は「ブタクサ」の花粉症でした。
ブタクサとは?
北アメリカ原産の雌雄同株のキク科の風媒花。
高さは1メートルほどですが、生命力が強く、全国の道ばたや河原に自生しています。
よく、セイタカアワダチソウと間違えられることがありますが、セイタカアワダチソウの花の方が色濃く、また、円錐形の形をしています。
また、セイタカアワダチソウは虫媒花のため、花粉を飛ばすこともなく、また、薬草の部類に入る、人間にとってよい植物です。
【風媒花・虫媒花】
- 風媒花:花粉を飛ばし、風に乗せて受粉していくタイプの花。
- 虫媒花:蜂などの虫に花粉をつけて、受粉していくタイプの花。
開花時期は7~10月頃で、オオブタクサという種類もある。
因みにブタクサは漢字で書くと「豚草」と書くのですが、英語の名前である「hogweed(ホッグウィード)」から来ています。
豚の餌という意味ですが、豚しか食べない、豚しか生息できない荒れ地にも生える……という由来から来ているそうです。
日本に最初に持ち込まれたブタクサ
元々、ブタクサは日本に自生しておらず、外来種です。
一番始めに日本に持ち込まれたブタクサは、戦後1961年にアメリカ軍が持ち込んできたといわれており、別名「マッカーサーの置き土産」とも言われています。
ちょっと迷惑ですね。
初めてブタクサの花粉症を見つけた歴史
【1945年頃】
この時代、既にアレルギー治療経験が長い耳鼻科医に聞き込み調査を行い、花粉症らしき症状の患者がいるという事が把握できていました。
【1948年頃】
アメリカ進駐軍の軍医により、花粉の調査が行われたものの、日本ではブタクサやイネ科の植物はアレルゲンになりえないと結論づけられ、日本での花粉症研究が滞ってしまう。
【1961年】
荒木医師という方が人へのアレルギー症状を調べるために、ブタクサの花粉から患者の皮内反応(スクラッチテスト)を行い、ブタクサによる花粉症症状の確認をする。
これにより、花粉症というものが正式に認識され、原因となる植物は「ブタクサ」「カモガヤ」「スギ」「よもぎ」とされました。
【1963年】
古川電工日光病院勤務の斉藤医師が、アレルギー症状を呈する患者を多く診察し、アレルギー学会に報告。
10年ほどの間は、外来植物であるブタクサが花粉症症状として多く報告されてきました。
【1964年】
医師の杉田・降矢により、カモガヤの花粉症が報告。
さらに同じ年に堀口・斉藤両医師により、スギ花粉が報告されました。
これ以降、イネ・イタリアングラス・ヨモギなど多数花粉症症状が発表され、戦後の高度成長期である1970年代頃から、戦後に植えた杉による、スギ花粉患者が急増していくという並びになりました。
現在でもスギ花粉に並ぶアレルギー発症率をもつブタクサ
スギ花粉ほどではないとはいえ、現在でもブタクサの花粉症患者は多くおり、その数は日本人の約6人に1人と言われています。
この数は統計で言うと、日本人の約25%がブタクサアレルギーであるということになり、スギ花粉ほどではないとは言え、無視できない発症率です。
発症時期は8月~9月になりますので、この時期にくしゃみ・鼻水・鼻詰まり、目のかゆみといった症状が現れたら、ブタクサの花粉症を疑ってみると良いでしょう。
スギ花粉との症状の違い
ブタクサの場合、その花粉の形に特徴があります。
丸い形のスギ花粉と違い、ブタクサの花粉は「カギ」状になっています。
そのため、鼻や目の症状よりも、「喉」や「肌」に症状が出る場合が多いです。
【喉に出た場合】
- 喉が赤くなる
- 喉がイガイガする
- 咳が出る
【肌に出た場合】
- 顔が痒くなる
- 外に出ている部分がチクチクしてかぶれる
- 皮膚が痒くなる
こうした症状が出やすいため、意外とスギ花粉よりも厄介な花粉とも言えます。
喉に花粉が付着しやすい分、喘息になりやすかったり、共通アレルゲンのせいで「果物アレルギー」を発症しやすくなったりもします。
ブタクサの花粉症になってしまった場合は、花粉の飛散時期は目の細かいマスクを着用するとか、メロンやスイカを食べるときはアレルギー症状を起こさないか等、注意して生活するようにしましょう。
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