アレルギー性鼻炎の薬による副作用について

薬の服用

アレルギー性鼻炎のお薬でどのような副作用が起こるか

アレルギー性鼻炎には、タイプ別・症状の重さ別によって処方されるお薬が変わることが多く、もちろん、それに伴いお薬の種類も多くなっています。

「アレルギー性鼻炎」タイプ別の薬について

2018.06.18

もちろん、100種類の薬があれば、100通りの副作用があため、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬、ステロイドなど、それぞれの薬による副作用について調べてみましょう。

抗ヒスタミン薬のちょっと気になる副作用

抗ヒスタミン薬は、花粉症の時など、第一選択薬としてよく出されるほどなじみのある、今や日本人にとって当たり前のお薬です。

ですが、今流通している「第二世代」の抗ヒスタミン薬が出る前、「第一世代」の抗ヒスタミン薬は副作用も強く、その副作用のために飲めない人も多々いました。

第一世代の抗ヒスタミン薬の主な副作用は「眠気」「集中力の欠如(眠気による所もある)」「口の渇き」等があげられます。

他にも長期服用による消化器系の症状(胃痛や便秘など)、肝臓への負担による肝機能障害などはありますが、大抵のお薬にある副作用なため、長期的な服用をする場合は、定期的に血液検査をする等して対処していきましょう。

眠気

抗アレルギー薬のちょっと気になる副作用

「え? 抗アレルギー薬って、抗ヒスタミン薬のことでしょ?」

と、そんな思いを浮かべる方も多いかと思いますが、抗ヒスタミン薬と抗アレルギー薬はちょっとだけ違います

抗アレルギー薬は広義の意味では抗ヒスタミン薬を含みますが、第一世代の抗ヒスタミン薬は基本的には含まないとされています。

抗ヒスタミン薬はアレジオンやアレグラ等、身近にある花粉症などで使用されるお薬として広く知られているものですが、「かゆみの元となるヒスタミンという受容体を遮断して、アレルギー症状を緩和刺せるもの」です。

一方抗アレルギー薬とはオノンやインタール、ブロニカなど、ヒスタミンではない他のかゆみや炎症といった、アレルギー症状の原因となる体の物質の作用を弱めたり、阻害したりして、症状を緩和刺せていくものだと、おおざっぱに思ってもらえるとわかりやすいでしょう。

抗アレルギー薬と抗ヒスタミン薬の最も大きな違いは、「速効性」です。

抗ヒスタミンは作用が早く、また効果も強いのですが、抗アレルギー薬は効果がでるまで数日から数週間ほど時間がかかるという点があります。

もちろん、「速効性がある方がいいじゃないか」と思われますが、作用する場所(気管支喘息であったり、鼻ポリープだったり)が異なったり、副作用が異なるため、その症状によっては、抗アレルギー薬のほうがよいこともたくさんあります。

そんな抗アレルギー薬の副作用ですが、タイプによって異なります。

【メディエーター遊離抑制剤】(インタール・リザベン・アレギサール等)

気管支喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎に使われるお薬。

効果がマイルドで薬効が出始めるのに、1~2週間かかります。

副作用は起こりにくいとされていますが、吐き気や胃痛など、また、眠気など起こることもあるそうです。

【トロンボキサン A2 阻害・拮抗薬】(ブロニカなど)

気管支喘息に主に使われるお薬で、トロンボキサンA2という、気管支喘息の反応に起因する体内物質の働きを抑えます。

副作用は、かゆみ・吐き気・肝臓障害・貧血などで、少々強めのお薬なため、連続服用中は月に1回の肝機能検査がすすめられています。

血液検査

【ロイコトリエン受容体拮抗薬】(オノン・キプレス等)

ロイコトリエンという、アレルギー症状などが起こったときに増える「好酸球」を増殖させる作用のある体内物質を、増やさないようにして、気道の収縮や粘膜のむくみ、鼻ポリープなどを起こさないよう抑えるタイプのお薬です。

副作用は胃腸系に関与する事が多く、吐き気・ゲリ・腹痛・胃部不快感などがあげられます。

また、蕁麻疹なども出やすいため、こうした症状が出るようでしたら、一端服用を中止し、医師、または薬剤師に相談してみましょう。

腹痛

【Th2 サイトカイン阻害薬】(アイピーディなど)

気管支喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎でよく出されるお薬。

ヘルパーT細胞のTh2細胞からのサイトカインと呼ばれる、アレルギーを引き起こす原因となる体内物質の生産を抑える作用があります。

副作用はやはり消化器症状が多く、胃痛・吐き気・胃部不快感などがよく上がる副作用です。

気になる副作用と言えばコレ「ステロイド薬」の場合

誰もが一番気になる副作用かと思いますが、最も効果が早く、最も効果的と言われる「ステロイド薬」の場合、副作用はどのようになるのでしょうか。

ステロイドは、飲み薬はもちろん、点鼻薬や点眼、軟膏などどのようなタイプのものにも使われており、掻きむしりでじゅくじゅくしたリンパ液が出ている状態の時や、アナフィラキシーショックで顔まで真っ赤になってしまったとき等、ここぞというときに出るもの……という感覚でいるかと思います。

もちろん、副作用も強く、「頻繁にステロイド薬を出す医師はヤブだ!!」なんて言われている方も、少なからずいます。

ですが、最近では第一選択薬として、軽症の場合でもステロイドを処方し、短期間で、がっつりしっかり治してしまおうという、傾向に変わってきているともあります。

では、そんなステロイド薬の副作用はどのようなものでしょうか。

【ステロイド薬の副作用】

①免疫力の低下

ステロイド薬は免疫抑制剤的な部分があるため、(そのお陰で免疫反応の暴走であるアレルギー症状などが治まるのですが)、長期的に服用していくと、当然感染症の危険性が高くなります。

普通に生活してる分には問題の無かったウイルスなどに感染し、例えば関節性肺炎になってしまうなどのケースが増えてしまうというデータも多くあります。

だいたい、1ヶ月以上の服用がある場合は、要注意でしょう。

マスクをして手洗い、うがいを徹底するほか、ステロイドを長期服用している方と会うときは、自分もマスクをする等の心遣いもしてあげましょう。

②骨粗しょう症の確率向上

ステロイド服用者の骨折率は、飲んでない人の1.9倍とも言われており、ステロイドの投与による骨密度の低下は、約3ヶ月で急速に減少していくため、早期から骨粗しょう症をきたす危険性があります。

もちろん、3ヶ月も服用する必要が出ている状況というのは、骨折にかまっていられるほどの状況ではないときかもしれませんが……。

レントゲン

③心筋梗塞や脳梗塞に繋がる「動脈硬化」が起こりやすくなってしまう

動脈硬化を促進してしまい、コレステロール値や中性脂肪値が高くなることがあるので、食事などで管理したり、あまりに高くなってしまった場合はお薬などでコントロールします。

④糖尿病

糖を合成する働きが高くなってしまうため、血糖値が上がりやすくなり、糖尿病になりやすくなります。

これも食事によってコントロールしましょう。

⑤血栓ができやすくなってしまう

これは③の心筋梗塞や脳梗塞にもつながりますので、場合によっては血液をさらさらにする薬を併用したりします。

⑥精神症状疾患

鬱状態になったり、逆に興奮状態が続き不眠になることも。

精神状態のことなので不安になりますが、ステロイドの服用を辞めると改善するので、そこまで心配することはないでしょう。

⑦ムーンフェイス・肥満

食欲が出てしまい、また、むくみやすくなるため、顔が満月のようにぱんぱんになってしまったり、太ってしまうこともあります。

もちろん、高血圧にもなりやすくなるので、塩分の調整や食事制限などが必要になるでしょう。

肥満

⑧白内障・白内障

点眼薬による副作用の他、経口服用の場合でも起こりえます。

ただし、人間は老化するに従い90%以上の確率で、水晶体の濁りを生じますので、その進行が早くなってしまうという認識でいたほうがよいでしょう。

ですので、長期服用の際は、定期的な眼科検診がよいとされています。

緑内障の場合、ステロイドの服用をやめると改善されていくため、症状が出た場合は医師と相談することをおすすめします。

⑦副腎不全

ステロイドを長期服用したときに、突然断薬してしまうと、体の中のステロイドホルモンが不足し、血液低下や頭痛吐き気等の症状に見舞われます。

1日、2日服用して止める分には問題ありませんが、長期服用の場合は、自己判断で薬を止めず、医師と相談の上徐々に減薬していくようにしましょう。

⑧ニキビ

ニキビができやすくなりますが、ステロイドを止めるとともに改善していきます。

ニキビ

⑨大腿骨頭壊死

大量にステロイドを投与された場合、極まれに起こる副作用。

股関節の痛みを感じ発見されることが多いので、違和感を覚えたらすぐに医師に相談するようにしましょう。

⑩その他の副作用

増毛・脱毛・整理不順・不整脈・ステロイド筋症等。その人の体質によって異なる症状が出るケースが多いです。

いずれもステロイドの中止とともに改善していきます。

また、点眼薬・点鼻薬のステロイドだと、粘膜が薄くなり、刺激を感じるなどということが起こることもありますし、吸引器でステロイドを吸った場合では、吸引後のうがいを忘れると、喉からの風邪などに襲われやすくなるなどもあります。

ステロイドの副作用を怖がらないで!!

ステロイドにはこのように副作用がありますが、どのような薬でも副作用はありますし、長期服用により肝臓障害が起こるのは、例え漢方薬であってもあり得ます。

ステロイドは元々人間にある体内物質でもあり、極力ステロイドを使いたくなくて、限界まで悪化させてしまうよりかはしっかりと使い、しっかりと治してしまった方がはるかによいのです。

ステロイドを止めるタイミングなどが難しいということもありますが、容量・用法を守り、信用のある医師と相談してしっかりと、賢く使うことで、快適な生活、より健康的な生活を行うことができます。

むやみに怖がらず、薬は表裏一体であることを理解した上で、正しい知識を持って適性な量を使って生きましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

ライター/印刷会社を得てフリーで活動するライター。自らのアレルギー・花粉症の経験を元に、多くの花粉症予防・対策について記事をしたためている。 健康オタクで、漢方・整体・鍼に詳しい他、毎日のエクササイズも欠かさない。