Contents
舌下免疫療法を知って、花粉症の根本治療をしよう
舌下免疫療法(舌下治療)とは?
今まで花粉症に悩まされている人達は、抗ヒスタミン薬を飲んでその症状を一時的に抑えるという、薬物療法でやり過ごしていました。
それは、花粉症という症状が、病原菌や手術で取れる病巣がある病気ではなく、自分の免疫機能のバランスの不調により、普段は無害な花粉を敵だとみなして攻撃してしまうことが原因で起こる事だからです。
もし、身体の免疫機能がなかったらどうなるでしょう。
風邪を引いただけで肺炎になったり、虫歯になっただけで脳に虫歯菌が行って脳炎を起こしたり……と、あっという間に人類は消滅してしまいます。
そのため、免疫機能を抑えるのではなく、過剰に働くヒスタミンを抑えるという方法で花粉症を緩和させてきたのが、今までの抗ヒスタミン薬での対処法でした。
しかし、新しい「アレルゲン免疫療法」として開発された「舌下免疫療法」は、身体に「花粉は敵ではない」と認識させる、花粉症の根本治療が見込める治療法なのです。
これは、アレルゲンを少量ずつ舌の下に垂らして、アレルゲンに身体を慣らしていくという方法で、今までは注射でアレルゲンを投与していく皮下免疫療法というものだったものが、自分でもできるよう、より簡単に、より安全に開発されていったのです。
舌下免疫療法のやり方
1日1回、少量のアレルゲンが含まれた治療薬(シダトレン)を舌の下に垂らしていきます。
初めは耳鼻咽喉科で相談し、なんの花粉でアレルギーを起こしているのかを的確に調べるために、検査をします。
その後、有効性があると判断されたたら、医師の指示下で投薬。
安全が確認できたら、2日目以降から自分で行っていきます。
その後、検査と薬の処方を兼ねて1~2週間に1度、馴れてきたら月に1度医療機関へ行きましょう。
必要な期間
効果が感じられる様になるのは3ヶ月以上。
治療期間として必要なのは2年から5年かかると言われています。
ですので、花粉の飛散シーズン6ヶ月前から治療を始めるのが理想とされており、その間花粉症症状が悪化した場合は、抗ヒスタミン薬で抑えつつ治療を続けていくこととなります。
効果が出るのは○%
約80%の患者に効果が現れたと言われています。
ですが、舌下免疫療法で根本的に花粉症が治る(薬も必要なく、舌下治療薬を止めても症状が現れない状態)確率は10~20%と言われています。
これは、舌下免疫療法は根治に数年と、長期的な期間が必要になることも原因しており、治療期間中に抗ヒスタミン薬の服用陵が減ったり、症状の緩和を感じるといった効果の現れが80%の患者に見られたということでしょう。
舌下免疫療法の副作用は?
稀ではありますが、やはりアレルゲンを直接投与していくため、アナフィラキシーショックの報告も上がっています。
また、舌下にアレルゲンを垂らすことによって、口腔内がかゆくなったり、腫れてしまうこともあります。
そのほとんどは1時間ほどで治まるものですが、舌下免疫療法をやっても効果が現れない場合もあるため、こうした副作用と天秤にかけて諦めてしまうケースもあります。
そして、治療中は花粉症の薬を飲むことはできますが、免疫に関係のあるステロイド薬は飲むことができません。
舌下免疫療法中はセレスタミンなどは飲めないと思った方が良いでしょう。
治療が受けられない人は?
- 妊娠中の方
- 喘息や気管支に何らかのトラブルを抱えている方
- 口腔内に炎症や傷がある方
- ステロイド薬を服用中の場合
- 12歳未満の子ども
期待できる効果
- くしゃみ鼻水などの鼻症状の改善
- 目のかゆみ・充血などの目症状の改善
- 生活の質(QOL)の向上
- アレルギー薬を減らすことにより眠気などに悩まされることが減る
他にも色々と注意点の必要な舌下免疫療法
シダトレン投与後は、5分間はうがいや飲食ができません。
また、投与後2時間は運動や入浴が出来ない為、それを長いと5年以上続けていかなくてはいけません。
こうしたことがストレスになったり、海外へ行くことが多い場合や、アスリートのような生活をする場合は、舌下免疫療法を考える必要もあるでしょう。
舌下免疫療法が向いている方
- スギ花粉で悩んでいる場合。
- 運転などの業務で眠気を引き起こす可能性のある抗ヒスタミン薬が飲めない場合。
- 受験生。
- 薬の副作用が出やすい方。
- 現状の花粉症の薬を減らしたい方。
- 将来妊娠を予定しているため、早い内に花粉症を治してしまいたい方。
このように舌下免疫療法はまだまだ問題の多いことや、長期的に負担がかかるわりには完治できると断言できないことから、踏み切れない方も多いかと思います。
ですが、花粉症の薬を減らしたいという目的でしたら、試してみる価値はあるかと思います。
コメントを残す