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アレルギー性鼻炎はタイプ別のお薬で
アレルギー性鼻炎とは、花粉であったり、ハウスダストであったりとした「アレルゲン」と呼ばれるアレルギー原因物質を吸い込むことによって発症する鼻炎症状。
その特徴もわかりやすく「突発的に起こる連発するくしゃみ」「透明のさらっとした鼻水」「流れるような鼻水」というものがあります。
風邪の場合、くしゃみはそこまで多くなく、また鼻水も黄色や青っぽい色でネバネバなので区別しやすいでしょう。
そんな「アレルギー物質」が原因で起こる鼻炎にはどのようなお薬がいいのでしょうか。
通年性と季節性の違い
お薬を紹介する前に、アレルギー性鼻炎には2つのタイプがあることをお伝えしておきましょう。
アレルギー性鼻炎には「通年性」と「季節性」という2つのタイプがあります。
【通年性】とは……。
通年性はハウスダストなどによるアレルギーで引き起こされる鼻炎のこと。
ハウスダスト……つまり、ダニの死骸やダニの糞、埃やカビなどの粒子によるアレルギーで、こうしたものは1年中どこにでもあるため、通年を通して発症してしまう鼻炎なのです。
【季節性】とは……。
季節性の鼻炎とは「その時期になったら発症する」鼻炎のこと。
例えばスギでしたら、1月末~4月上旬くらいの間の、杉花粉飛散シーズンにのみくしゃみや鼻水がでるという、俗に言う「花粉症」のことが季節性アレルギー性鼻炎なのです。
ただし、アレルギー性鼻炎とは、「鼻炎」と言っているだけあり、鼻症状のことのみを指した病名ですが、花粉症の場合目が痒くなったり、肌が荒れたりしてしまうため、もっと広域の症状を示しているということもあります。
いずれにせよ、季節性であっても通年性であっても、「原因物質によって引き起こされる、鼻のアレルギー症状」であるということは確かです。
花粉の時期にだけバーっと症状が出るのも辛いですし、1年を通して、常にくしゃみや鼻水に悩まされ続けるというのも辛いもの。
そうした辛い症状を抑えられるのが「お薬」なのですが、鼻炎症状によっておすすめとされる薬が変わってきます。
アレルギー性鼻炎の症状によるお薬
アレルギー症状を抑える薬はいくつかあり、もちろん強い・弱いといった程度もあります。
理想はやはり薬を必要以上に飲まないこと。
自分の症状にあった量や強さのお薬を飲むことが一番なのですが、では、自分の鼻炎の症状はどの程度か調べてみましょう。
【タイプ別重症度】
くしゃみ鼻水がメインの症状の場合……。
- 「軽症」………………くしゃみが1日5回未満、もしくは鼻をかむ回数が5回未満。
- 「中程度の症状」……くしゃみが1日5回以上出る、もしくは5回以上鼻をかむ。
- 「重症」………………くしゃみを1日10回以上してしまう、もしくは10回以上鼻をかむ。
鼻づまり症状がメインの場合……。
- 「軽症」………………鼻づまりを感じるものの、口で呼吸するほどではない。
- 「中程度の症状」……鼻づまりが強く、時々口呼吸をしてしまう。
- 「重症」………………頻繁に口呼吸をするほど鼻づまりが強い。
このような症状のランクにわけて、薬の強さや必要な量が変わってきます。
軽度のアレルギー性鼻炎の場合
抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬がメインとなります。
抗ヒスタミン剤は花粉症などで出されることも多く、今日では多くの日本人に知られているかと思いますが、かゆみやくしゃみ、鼻水などのアレルギー症状を引き起こす「ヒスタミン」の量や活動を抑えるお薬。
第一世代と第二世代が、現在出ている抗ヒスタミン薬の種類です。
そして抗アレルギー薬とは、抗ヒスタミン剤と同じことを示すことが多々あり、第二世代の抗ヒスタミン剤もその狭義に含まれます。
また、メディエーター遊離抑制剤(インタール等)、トロンボキサン A2 阻害・拮抗薬(ブロニカ等)、ロイコトリエン受容体拮抗薬(オノン等)、Th2 サイトカイン阻害薬(アイピーディ等)はアレルギー薬と言われますが、第一世代の抗ヒスタミン剤は含まれていないようです。
オノンなどは咳喘息を起こした際に処方されることもあるため、オノンを代表に例えるとわかりやすいかと思いますが、例えば、抗ヒスタミン薬は「ヒスタミンという受容体を遮断してアレルギー症状を起こさないようにするもの」とします。
一方オノンは「ロイコトリエンという受容体を拮抗してくれる薬」なのです。
ロイコトリエンは、アレルギー症状が起こったときに増える細胞の「好酸球」を増殖させる作用があります。
好酸球は体になくてはならない物質ですが、増えすぎると副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎において鼻茸(鼻のポリープ)を起こしたり、炎症症状が悪化したりする原因にもなるため、ロイコトリエンを抑えて、好酸球を増やさないようにする働きが必要となるのです。
どちらもアレルギー症状を抑えるという点では同じですが、その作用する場所、抑え方が違うものだったのです。
ですので、アレグラとオノンなど、抗ヒスタミン剤と抗アレルギー剤を両方処方されることも多いのですが、成分も作用も違うので、両方一緒に服用しても大丈夫ということなのです。
因みに、抗ヒスタミン剤と抗アレルギー剤では副作用も若干違うこともあります。
(アレグラの場合は頭痛や眠気、オノンの場合はゲリや胃痛など)
中程度のアレルギー性鼻炎の場合
くしゃみや鼻水がメインの症状か、鼻づまりがメインの症状かでかわることが多いのですが、「くしゃみや鼻水タイプ」の場合、「抗アレルギー薬」か「抗ヒスタミン薬」で抑え、鼻づまりがメインの場合は「抗ロイコトリエン薬」か「抗トロンポキサン薬」や「ステロイド点鼻薬」で抑えることが多いでしょう。
抗ロイコトリエン薬は前述の通り、「オノン」などの、ロイコトリエンを抑えるタイプのお薬で、鼻症状をメインに抑えてくれます。
【抗トロンポキサン薬とは……】
こちらも抗アレルギー薬の一つなのですが、鼻や気管支などでアレルギー症状を起こす原因物質の一つに「トロンポキサン」というものがあるのですが、このトロンポキサンは血管を拡大させたり、気道を過敏にさせたり、充血させたりという「必要だけど行き過ぎると迷惑な作用」を持っています。
ですので、このトロンポキサンを抑えて、くしゃみや鼻水、気管支喘息を抑えようというものなのです。
重度のアレルギー性鼻炎の場合
くしゃみ・鼻水がメインの場合は「ステロイド点鼻薬」と「抗ヒスタミン薬」。
鼻づまりがメインの場合は「ステロイド点鼻薬」と「抗ロイコトリエン薬」か「抗トロンポキサン薬」という処方が多くなります。
【ステロイド点鼻薬とは……】
ステロイドと聞くと、効果が強く副作用の怖い薬……と思われがちですが、今では通年性アレルギー性鼻炎の人が長期間使用しても大丈夫なほど、安全性も認められています。
今回は中程度や重症の場合でステロイド点鼻薬が出される……と記述していますが、病院によっては、軽症や初期の段階で処方し、がっつり短期間で抑えてしまおうと処方されるほど(第一選択薬として選ばれるほど)、ガイドラインが変わってきています。
ステロイドとは、人間の副腎から作られる副腎皮質ホルモンの一つと同じで、体の炎症を抑えたり、免疫力を抑えたりする作用があります。
つまり、元々は人間の体の中で作られるホルモンであり、過剰に増えれば副作用にもなりますが、適切に使えればそこまで敵視するお薬でもないのです。
因みに、スポーツ選手が筋肉増強などに使われる、ドーピングだと事件になることも多々あるステロイドは「タンパク同化ステロイド」と呼ばれ「副腎皮質ホルモン(ステロイド)」とは違うものです。
このように、「ドーピングで……」など聞き及び、ステロイドが怖いものだと思う方も増えてきてしまったのでしょう。
服用タイプのステロイド薬の場合、どうしても眠くなる等の副作用はありますが、点鼻薬タイプでしたらそのような副作用もなく、容量・用法を守ってしっかりと使っていけば、問題はありません。
程度やタイプによって異なるアレルギー性鼻炎のまとめ
このようにアレルギー性鼻炎はタイプや症状によって薬の種類や、量などを調節するとよいとされています。
【軽度】
「抗ヒスタミン薬」か「抗アレルギー薬」
【中程度】
くしゃみや鼻水タイプ……「抗アレルギー薬」と「抗ヒスタミン薬」か「ステロイド点鼻薬」
鼻づまりタイプ……「抗ロイコトリエン薬」と「抗トロンポキサン薬」か「ステロイド点鼻薬」
【重症】
くしゃみや鼻水タイプ……「ステロイド点鼻薬」と「抗ヒスタミン薬」
鼻づまりタイプ……「ステロイド点鼻薬」と「抗ロイコトリエン薬」か「抗トロンポキサン薬」
もちろん、病院の方針や体質・生活様式でも薬の種類や強さを変える必要性がありますので、一概に「軽症だから『抗ヒスタミン薬だけでよい』」「重症なので『ステロイド点鼻薬』が絶対」というわけではありません。
だいたいの目安として考えてもらえればと思います。
一番よいのは、自分と相性のよい病院を見つけ、そこで相談し、自分に合ったお薬を処方してもらえること。
副作用を過剰に心配し我慢するのも、逆に体に悪いですし、通年性だからといって365日同じ量の薬をずっと使い続けることは滅多にありません。
多くは、夏場に症状が軽くなることも多いですし、体質改善によってアレルギー性鼻炎が治まることも多々あります。
今、自分はどの程度の症状なんだ。こんな薬があるんだ。ということくらいは頭に入れつつ、最適な薬で症状を落ち着かせていきましょう。
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