ここが異なる「大人のアトピー」「子どものアトピー」

大人と子ども

大人のアトピーと子どものアトピーではどういった違いが出るのだろうか

アトピー性皮膚炎は子どもだけの皮膚疾患と思われがちですが、大人でもアトピー性皮膚炎は起こりえます。

大人のアトピー性皮膚炎は「成人型アトピー」と呼ばれ、10年くらい前までの「アトピー性皮膚炎は子どもの病気で大人になれば治る」という概念を大きく変えたものです。

小児期のアトピー性皮膚炎が治りきらず成人型に移行するパターンと、大人(思春期以降)になってから発症するパターン、その療法が同じくらい起こるようになりました。

それでは、大人のアトピー性皮膚炎と子どものアトピー性皮膚炎ではどのような違いが出るのでしょうか?

また、その治療法などにも違いはあるのでしょうか?

そもそも原因が異なる大人と子どものアトピー性皮膚炎

起因

 

アトピー性皮膚炎の原因は、まずは遺伝的な物に要因しつつ、環境や食事などが起因となるケースがほとんどです。

いずれも、遺伝的にアトピー体質であることは、生まれてから死ぬまで変わらないことなのですが、違いが出るのが、大人の起因と子どもの起因です。

大人の起因となることは「環境」が多く、子どもの起因となることは「食物」が多いことがほとんどです。

子どもの場合は、皮膚が薄く、またバリア機能も未発達なため、我慢しきれずにかいてしまうことで皮膚表面が傷つき、ジュクジュクの状態になりやすくなってしまいます。

また、食物に対する免疫反応もより子どものほうが顕著に表れてしまいます。

ですが、成長し肌バリア機能が発達すること。そして、食物に対する反応が減ることにより、アトピー性皮膚炎も自然と改善していくことがあるのです。

一方大人は、ダニやホコリなどの「環境」が起因となることが多く、成長に伴い皮膚のバリア機能がしっかりとしたものになったにも関わらず、ダニやホコリを完全に取り除くことは難しいため、アレルギーとなる食事を避けていたとしても症状が出てしまうことが多いのです。

因みに、大人のアトピーの場合、思春期を過ぎ、年齢と共に皮脂の量が減っていくため加齢を感じられるような年(30代後半から40代過ぎあたり)から、肌が乾燥することで発症するケースがありますので、乾燥肌の方は気をつけておいたほうがよいでしょう。

症状の出方にも差が出る

症状

子どものアトピー性皮膚炎の場合、赤く腫れ上がった湿疹と、それに伴うかゆみが主な症状なのですが、大人に比べて自制心がどうしても低くなるため、「かゆみを我慢する」ということができない子どもは、肌を掻きむしってしまい酷い炎症を起こしてしまうケースが多い見られます。

幸い、子どもの場合治癒能力は大人よりありますので、肌の治りは早く、また綺麗に戻りやすいのですが、何度も繰り返し炎症を起こしてしまうと、痕になってしまう事もあります。

一方大人のアトピーは成長による症状の収束は見込めません。

悲しいかもしれませんが、食生活や生活習慣の改善、投薬が中心で、治りにくいと言われています。

また、大人のアトピーは再発しやすく、さらに、子どもと比べて、紅斑(すこし盛り上がった赤い斑点)や苔癬化(カサカサ皮膚が厚くなったもの)といった症状以外に、痒疹といった円形で赤く盛り上がった湿疹が出やすく、この痒疹はステロイドや内服薬でも治癒しにくいため、厄介なことになりがちです。

大人と子どものアトピー性皮膚炎の治療の違い

大人は環境から子どもはほどほどに!?

成長

子どものアトピー性皮膚炎は「治りませんが自然に治るもの」という認識があり、また、実際そうであるケースが多く、小児科医の中でも余程酷い炎症を起こしているのではない限り、強い薬を使って・検査をして……と大事にはしません。

しっかりと薬を使えばよくなりますが、放置すると酷い状態になってしまいます。
ですが、治る時期には変わりがない……という意味なのです。

子どもは成長していく過程で免疫機能も変化していくため、アレルギー・マーチと呼ばれる「アレルゲンがまるで日替わりでかわるように」症状が変わったり、原因が変わったり、また、悪化したり改善したりを繰り返す時期が出てきてしまいます。

ですが、そこを過ぎると、ホルモンバランスの変化が起きにくくなり、症状が安定していくこともあります。

困ったことに、女性は一生の間かなりホルモンバランスが変わっていく生き物ですので、安定しないケースもありますが、大抵は生理前だけ少し肌が荒れる程度くらいになることもあります。

一方成人の場合、自分で食事に注意したり、掃除や洗濯をしつつ、会社に行って生きるためのお金を稼ぐ、ストレスを感じても、眠くても残業をしなくてはいけないという問題が背景にあります(本来はない方がよいのですが)。

そのため、治療も難航しやすく、お薬をずっと続けていかなくてはいけなくなるケースがほとんどです。

もちろん、生活環境を変える事によって症状が和らぐ、もしくは全く出なくなることもありますので、大人のアトピー=治らないという訳ではありません。

ですが、基本的に「大人のアトピーは継続的な努力で環境を変える。子どものアトピーはほどほどの治療で(あまり根を詰めない程度)」というのが大人と子どものアトピー性皮膚炎の違いでしょう。

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ライター/印刷会社を得てフリーで活動するライター。自らのアレルギー・花粉症の経験を元に、多くの花粉症予防・対策について記事をしたためている。 健康オタクで、漢方・整体・鍼に詳しい他、毎日のエクササイズも欠かさない。