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まだ知られていない「ヒスタミン不耐性」について
日本ではまだ広まってはいないけど、ありそうな症状「ヒスタミン不耐性」というものが、花粉症症状とかぶっている……!?
最近、少しずつそんな話が聞こえるようになりました。
少し前までは「風邪=抗生物質の処方」というものがセオリーだったのですが、今では、風邪には抗生物質は意味が無いと言うことで処方しない医師が多くなってきました。
また、膀胱炎でも必ず抗生物質を出していたのですが、最近では「ともかくたくさん水を飲むこと」と、多少の膀胱炎では抗生物質を出さない医師も出るようになりました。
もちろん、喉が炎症し酷く腫れていたり、肺炎になりそうなほど咳が出ていたり、血尿が出てしまっているというレベルでしたらすぐ抗生物質を処方したりもしますが、昔の定説は今では変わってしまうことが多々あります。
そんな定説の中に、「もしかしたらそろそろ入るのでは?」と思われる新常識「ヒスタミン不耐性」の話がちらほらと聞かれるようになりました。
アレルギーとも関係のある、実は身近かもしれない「ヒスタミン不耐性」について、今回調べてみました。
ヒスタミン不耐性とは?
まだアメリカを中心に広まり始めている、アレルギーの要因の一つで、まだまだ研究段階のものですが、ヒスタミンというくしゃみを引き起こしたり、炎症をやかゆみを引き起こす物質を、分解することができなくなっている状態のことを言います。
ヒスタミン自体、私たちの体の中で作られる他、ありとあらゆる食材の中に含まれています。
特に多いのが、マグロなどの赤身魚の中なのですが、実際に厚生労働省からも「ヒスタミンによる食中毒」を警告する発表もあります。
関連⇒厚生労働省のページ
ヒスタミン自体、花粉症を引き起こすものとして敵視されがちなのですが、血圧を下げたり、記憶学習の手伝いをしたり、食欲を抑えたりと、人間の体にはなくてはならないものです。
そんなヒスタミンを分解できる能力が元々人間には備わっているのですが、何かしらの事情によって、分解できずにヒスタミンが許容量オーバーをしてしまうことが、ヒスタミン不耐性と言います。
【ヒスタミン不耐性=ヒスタミン処理能力が減少してしまう要因】
- 遺伝的要因(体質)
- 過去の病気
- 生活環境
- ホルモンの変動
- 薬の影響
等
筆者も恐らくヒスタミン不耐性ではないのかと思うのですが、人と同じ量のカジキマグロのお刺身を食べているのに、私だけ酷い蕁麻疹や下痢、吐き気を引き起こすような事が多々あり、アレルギー検査では問題ないのに……と不思議に思っていました。
ヒスタミン不耐性で起こる症状
- 関節炎
- 睡眠障害
- イライラ
- 下痢(軟便)
- 吐き気
- 蕁麻疹
- くしゃみ鼻水
- 目のかゆみや腫れ
- 喘息
- 頭痛
- 呑酸(逆流性食道炎のような症状)
- 鼓腸(おならがすぐにでそうになる症状)
- めまい
- 紅潮(顔など皮膚が赤くなりやすい)
と、このように「アレルギー体質」とか「花粉症」とひとくくりにされそうな症状がたくさん。
他にもいくつか症状はあるのですが、代表的なものがこういったものです。
いずれも、原因が特定できず、常に蕁麻疹が出たり、花粉症のような症状が出るにも関わらず、アレルギー検査ではなにもない……なんて方に多いかと思われます。
これは、ヒスタミンが体に溢れ、分解できないことで起こる症状です。
自分がヒスタミン不耐性かどうかを調べる方法は……?
さて、ここまで花粉症に似た症状(その他、逆流性食道炎や慢性蕁麻疹のような症状も出ます)が出ると言われているヒスタミン不耐性ですが、自分がヒスタミン不耐性かどうかを調べる方法は……実はまだ確立されていません。
医学界の中でもまだ定説として広まっているものでもないため、例えば血液検査をしてわかるような状態でもありません。
ただ、なんとなくでもわかる方法があります。
【下記の項目に両方とも当てはまる】
- アレルギー検査をしたにも関わらず、特定のアレルギーの要因がわからない。
- 血液検査でアレルギーの数値がわかる「IgE」が、症状が出ているにも関わらず低い。
【さらに、下記の項目のどれか一つにでも当てはまる】
- 蕁麻疹が出やすい。
- 通年を通して鼻水・鼻づまりといったアレルギー性鼻炎のような症状が現れる。
- 暴飲暴食をしたわけでもないのにしつこい逆流性食道炎に悩まされる。
- 下痢症で、些細なことでお腹を下しやすい。
- マグロや青魚の刺身などを食べた際、自分だけ体調を崩す。
- 発酵食品(ぬか漬け・キムチ・ヨーグルト・ピクルス等)を食べた際、蕁麻疹が出たり、肌が赤くなったりする。
この条件が当てはまった場合、もしかして、その治らないアレルギー症状はヒスタミン不耐性によるものかもしれません。
ヒスタミン不耐性の対処法は?
ヒスタミン不耐性の対処法を知る前に少しだけ、ヒスタミン不耐性の原因とヒスタミンについて勉強してみましょう。
ヒスタミンは大切なもの
先にも述べましたが、ヒスタミンは食材はもちろん私たちの体の中でも生産されているものです。
免疫機能を守る一つとして、肥満細胞や好塩基球にヒスタミンが蓄えられており、アレルゲンやウイルスなど、体の中に入れてはいけないものが侵入してきた際に、ヒスタミンが放出されて、炎症反応を起こして排除使用とするのです。
花粉症やアレルギー症状は、このヒスタミンが過剰に反応して、本来ならなんでもないものも排除しようとヒスタミンが頑張りすぎてしまい、くしゃみや鼻水、蕁麻疹や目のかゆみなどといった困った症状にあるのですね。
ですが、ヒスタミンは大切な役割があります。
もちろん、ウイルスや毒素から私たちの体を守るという役目はもちろん、消化・睡眠・血圧・脳の働きの補助に至るまで、様々なところで活躍しています。
だからこそ、ヒスタミンが過剰になりすぎると、体の色々なところで不調が出てしまうのです。
ヒスタミンは代謝で消費している
ヒスタミンは体に蓄積されすぎないよう、不必要な分はジアミンオキシダーゼという酵素で分解されていきます。
Wikipedia⇒ジアミンオキシダーゼ
ですが、ジアミンオキシダーゼ酵素が体質的に少なかったり、生活習慣の悪化や抗生物質の使用で腸内環境が乱れていることなどで、酵素が不足している場合、ヒスタミンが代謝されずどんどん蓄積されて行くことになるのです。
ヒスタミン不耐性を静めるには食事が大切?
ヒスタミンはストレスなどでも生産されていきますが、一番悪影響を与えてしまうのが「ヒスタミンを多量に含む食品」を口にすること。
通常、腸内環境を改善使用とした場合、ヨーグルトやピクルス、漬け物やキムチを食べることが多いかと思います。
ですが、ヒスタミン不耐性の場合、この「酵素を多く含む食材」が結構ネックになってしまうのです。
【ヒスタミン不耐性の人は避けた方がよいとされる食材】
発酵食品
漬け物・ピクルス・キムチ・ヨーグルト・チーズ・大豆発酵食品(味噌や醤油)等
魚類
特にマグロ・カジキマグロ・鰯・鯖・アジ等
アクの強いとされる野菜
トマト・ほうれん草・ナス・アボカド等
食品添加物
人口着色料・亜硫酸塩・保存料等
調味料の一部
シナモン・カレー粉・ナツメグ・酢・唐辛子等
飲み物の一部
紅茶・緑茶・マテ茶・アルコール
あれもだめ、これもだめとなってくると何を食べればよいのかわからなくなってきますが、逐次食べたものをメモしておき(スマホなどで写真を撮っておくだけでも)、何を食べたあとに体調が悪くなるかを把握しておくだけでも、対策を見つけられるようになるかと思います。
ただし、ヒスタミン不耐性の場合、ヒスタミン中毒を起こしている状態では無い限り、アレルギーのように食べてすぐ症状が出るわけではないので注意が必要です。
関連⇒参考文献
【筆者の経験談】
10年近く続く慢性蕁麻疹に悩まされていました。
1日に2~3カ所は必ず蕁麻疹が現れ、少しでも疲れたりしたときは顔中殴られたような膨疹が出るように。
また、スギやブタクサに限らず花粉が多く飛散する時期になると、花粉症のような症状が現れるにも関わらず、どんなアレルギー検査しても何にも反応しませんでした。
さらに、逆流性食道炎のような症状、過敏性腸症候群のような下痢症状に悩まされることも多く、それらも病院を点々としても原因不明、逐次薬を飲んで対処と言うことになりました。
ただ、不思議なことに抗ヒスタミン薬を飲んでいる間は、蕁麻疹はもちろん、くしゃみ鼻水、逆流性食道炎や下痢が治まることが多かったのです。
因みに幼少期からこうしたアレルギー症状が現れていましたし、姉や母も似たような体質でしたので、遺伝的にヒスタミンを分解しにくい体質だったのでしょう。
医師からハッキリと言われたわけではないので明言はできませんが、一時、腸内環境を改善させようと、発酵食品をとり、青魚を食べまくっていたときは毎日のように蕁麻疹が出ていたので、今思うとやはりヒスタミン不耐性だったのではないかと思います。
今ではヨーグルト・キムチ・ぬか漬けは避けるようにし、マグロのお刺身も余程新鮮なものでも1~2切れしか食べません。
そして、紅茶(緑茶やジャスミンティーのような茶葉由来のもの)は止めて、飲んでもコーヒーのみにしたところ、あれだけ毎日出ていた蕁麻疹が月に1~2回、疲れたときや生理の当日のみ少し出るだけになりました。
花粉症症状のようなものも、どんなにアレルギーがなくとも多量の花粉を浴びるとヒスタミンが出てしまうため、その少量のヒスタミンで鼻水やくしゃみが出たり、咳が出るようになってしまっていたのでしょう。
今までアレルギーを抑えるためと思って食べていたものが、逆効果だった……なんてこともあったのですね。
- 自分の体に合わない食べ物を食べないこと。
- サプリメントを有効活用すること。
(ビタミンCは抗ヒスタミン効果があり、ヒスタミンの分解の手伝いもしてくれるのでおすすめです) - 抗ヒスタミン薬でコントロールしていくこと。
この3つがポイントになるかもしれません。
あくまで、まだ一部で話されている症状のことですので、知らない医師の方が多かったり、懐疑的な医師も多いかと思いますが、こんな症状を抱えている人もいるのかもしれないことを知ってもらえればと。
まだ、医学界では研究段階のこの症状が、早く解明されて、全ての人が快適に過ごせる日が来ることを願っています。
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