増え続ける日本人の花粉症に対し国はどのように考えているのか
年々増え続ける花粉症は、もはや日本人の国民病と言ってもいいほど拡大し、おおよそ4人に1人が花粉症、さらには、東京都民のなんと、約48%が花粉症との統計が出てしまうほど。
死に至る病気ではないとはいえ、花粉症はQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)はもちろん、仕事などに影響し、生産性も下がってしまい、このままでは国全体の負担になってしまうことは明か。
では、国としては花粉症対策をどのように進めていこうと考えているのでしょうか。
直接、国の要人や役人さんにお話を聞けるチャンスはありませんが、ニュースや林野庁などからの情報を元に検証してみたいと思います。
東京都が乗り出した、「花粉症撲滅宣言」
2005年、当時在籍していた石原慎太郎都知事によって宣言された花粉症撲滅宣言。
大気汚染や水質汚染同様、もはや花粉症は公害のレベル。
花粉症で困っているという声が上がっているのですが、行政が動くのは当然のことと、産業労働局などが動きを見せるようになりました。
ただし……国が花粉症撲滅に足を向けたところで、その先は困難な道です。
まず、東京都は50年ほど前に植林されて、花粉をまき散らせている成熟したスギを伐採後、花粉の少ないスギに植え替える「花粉の少ない森づくり」事業というものを、宣言の翌年2006年からスタートさせました。
ですが、そもそも現在植えられているスギを全て伐採していくということが問題です。
森林はただそこに木が植わっているだけではなく、土砂崩れ防止、水源を確保する、土壌を保全する、雨水が鉄砲水に変わるのを防ぐなど、様々な目的があってそこに生えているのです。
ですので、手当たり次第伐採し、若いスギの木を植えるわけにもいきません。
また、実は一見国の土地に見えていそうな山や山林は、日本の場合ほとんど個人所有のものだったりします。
そのため、いくら国とはいえ個人所有の山に入りスギを切ったり、植えたりなど、勝手にできることは当然許されません。
さらに複雑な問題として、日本の林業は国内産の木材販売が低迷中。
日本で切って、日本で売るよりも、なんと、諸外国からの輸入木材を日本で販売した方がとても安く、わざわざ赤字になるのにスギの植え替えのために国内産のスギをうるという業者もいません。
このような理由により、せっかく開発された花粉の少ないスギの植え替えは、ほとんど進まずにいるのです。
もちろん、毎年60ヘクタールずつは植え替えが進んでいる層ですが、東京都だけでもスギが植わっている森林面積は約2万ヘクタール。
これでは、全てのスギを植え替えると考えても300年以上もかかってしまうのです。
もちろん、スギが植わっているのは東京都だけではありません。
近隣や地方の県とも協力し、例えば、林野庁は補助金制度を出し、スギの植え替えを促進したり、また安倍首相によって、対策予算が約1億2000万円から約4億と増額されたりしているため、スギの植え替えも加速使用としているようです。
各「省」での対策
このような直接的な対策の他にも、各「省」でも花粉対策をおこなっています。
環境省:花粉飛散予測や花粉の観測
これにより、スギ・ヒノキのピークや花粉開始時期をリアルタイムで伝えられ、国民が予め予防をできるようにしています。
また、花粉や花粉症に関する情報の提供もおこなっています。
気象庁:気象の予測
花粉は気象ともしっかりと関係しています。環境省がへの情報提供源として役立っています。
農林水産省:スギ花粉棟尚飛散量推定
スギ・ヒノキ林からの花粉生産量の予測をし、各関連機関へ情報を提供しています。
また、花粉症対策用の無花粉スギ・低花粉スギの開発や、植え替えの促進なども農林水産省などでおこなっています。
文部科学省・厚生労働省:花粉症の原因究明
免疫システムなどの研究をおこない、花粉症やアレルギー疾患の原因究明と治療法の開発。
もちろん、予防に向けた花粉症ワクチンなどの研究もおこなっているようです。
そして、研究拠点の整備などもおこなっています。
各自治体でも花粉症対策に取り組んでいます
国だけではなく、各都道府県の自治体でも花粉症に対する取り組みをおこなっています。
花粉症撲滅宣言の東京都はもちろん、ほぼ全ての都道府県の自治体でアレルギー対策班などを作り、情報などをHPに上げたりしていますので、一度お住まいの役所などのHPを確認してみても良いでしょう。
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